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タビノミセ  

築140年の古民家が建つ、
あたりを木々に囲まれた、静かな奥まった場所。
そこに作業場はあります。

ときおり窓の外から聞こえてくる鳥のさえずり。
その声を聞きながら心をしずめ、呼吸深くゆっくりと針を進めます。

使用する布は、遠州地方で織られている伝統織物「遠州木綿」
私が生まれ育った場所もまた遠州。
彼の地で古くより育まれた布を使うこと、それはある意味私自身に戻ることでもあります。

そのようにして生まれた作品。
あなたが手に取り喜んでいただけたのなら、私はまた一歩、私に近づけます。

針の行先がどこなのか、正直まだ私にはよくわかりません。

でも自分の手を信じ、針を一針ずつ進めていくこと。
作品を通じ、あなたと繋がれたこと。
それが何よりも大切なことのように思います。

どうぞゆっくりとご覧くださいませ。




タビノミセ 長濱久美子